黒田月水さんとの出会い
2016年 08月 01日
坂本屋当番日記。
夏の歩きお遍路さんは早立ち、早仕舞いが多いので
いつもよりちょっと早目に
07:45 用意した冷いコーヒーと水羊羹をクーラーBOXに入れて自宅発。
いつものように48番西林寺さん朝参り。
山門脇の俳句POST
今ごろ境内の何処かで、短い夏を青春しているのだろうなあ~
この蝉にも、いいアモーレがあって子孫が残せますように・・・
ご本尊 十一面観音様にお願い 合掌・・・
おんまか きゃろにきゃ そわか
字余り -小僧ー
09:30 順打ちの江戸さんがひと休み。
持参した水羊羹を喜んでもらって嬉しかった。
09:45 江戸さんご出立、
松山近郊の知り合いが「泊まれ 泊まれ」と言ってくれるのだが
迷惑になりそうで・・・と躊躇されているので
「そりゃあ~お招きのまま一宿一飯をお楽しみになって下さい」と背中一押し。
ザックに挿された
「祭り団扇」が
妙に印象に残りました!
09:50 「お急ぎでなかったらひと休みして行きませんか?」とお声がけしたら
合掌して「南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 休ませていただきます」と、伊予さん。
お聞きすれば、
本日このあと、めでたく第48番西林寺さんで「結願」とのこと。
ご結願おめでとうございます。
10:18 その結願寺へ思いを込めてご出立。
麦茶と水羊羹に
「ありがとうございます、とても幸せです」と合掌されて・・・
静かにお話しになりました。
誕生日の6月8日出発して、ゆっくり四国を一周しました。
いつでも何処でも親切にしていただいて、
一日たりともしんどいと思ったことはありません、幸せな毎日でした。
(さりとて、菅笠の縁の傷みにご苦労が偲ばれます・・・)
お杖には、亡くなられた祖父・祖母はじめ数名のお名前が記してあり、
「供養がしたかった」と。
左手に持たれた鋳物製のちょっと重そうな「牛」の置物は?、
足摺岬で知らない人から
「連れて歩いてくれ」と言われたのでズッと一緒です、って。
次は別格寺参りに関心があるような口ぶり
もっと もっと お話聞きたかったなあ~
11:55 いつも挨拶を交わす農家さんの軽四が止まった、
「子供に持って帰ってやるかな」。
12:00 当番さんと囲炉裏部屋で持ち込みの山賊むすび昼めし。
「暑いけん、今日は昼からヒマやと思うよ」、
このあと、コレがピタリと当たった!
それでも午後2時前後には岩屋寺スタートのお遍路さんが通過されるかも・・・と、
表へタップリ打ち水してみたが、サッと乾くのです・・・
13:40 炎天下、「お遍路さんの苦労を知れ」とばかり、
三坂峠側へほんのチョット歩いてみたが、とても耐えられる暑さではない・・・
納屋の前の畑のカンナが「あんたも熱中症にお気をつけて」って優しい花だ。
14:45 某放送局から「今日あたり通過」と聞いていたお遍路さんも見えず・・・
あと15分が辛抱できず、坂本屋クローズ、山を下りました。
途中、浄瑠璃町の明日当番の坂本屋メンバーさんに諸々引継ぎお願いをして西林寺へ。
15:00 今朝の結願お遍路さんの姿はないかと、西林寺さんへ寄ってみたが姿はない・・・
もうとっくに結願のセレモニーを終えて帰宅されたんやろうなあ~、
結願おめでとうございます。
15:10 さて、西林寺をあとに県道からへんろ道へ入った所でお遍路さんにバッタリ遭遇、
色白顔の日焼け止め対策のマスクに
ウワサに聞いていた特徴のある背中の荷物!
「自分」と大切な「琵琶」を守る菅笠二段構えの図。
(琵琶の笠の方が高級品で?・・・)
「Mお先達からもお聞きしております、
黒田月水さんではありませんか? 坂本屋の門前と申します」。
「ハイ、ハイ そうです、明日はお世話になります」、
炎天下、気の毒なほどの流れる汗・・・、立ち話も気の毒・・・
「48番さんはすぐそこです、頑張って下さい、
明日、坂本屋でお待ちしております」、
「よろしければ、ご一緒にお参りしましょうよ!」。
誘われるままに西林寺さんへUターンして仁王門脇のベンチで待機。
ほどなく菅笠二段構えの月水さん ご到着。
(右の写真を含めて、撮影と掲載すべてご承諾済み)
お納経所へ奉納演奏の許可願いを済まされて、
本堂、大師堂へお参りされるあいだ、大切な琵琶のガードマンを申し出た門前、
いろいろなお遍路さんのを見てきましたが、
「琵琶」奏者お遍路さんは初めてお会い致しました。
15:48 「こちら様では大師堂の濡れ縁をお借りします」と始まった土佐琵琶の奉納演奏。
折りから参拝者の撞く鐘の響きと琵琶の音が境内に流れます
初めて拝聴する琵琶の弾き語りが小僧の五臓六腑に沁みわたります。
ウロウロするのが申し訳なくて、
月水さんの背中越しに、奥のハス池の前から拝聴すること10分余・・・
思えば・・・
西林寺さんへの朝参りに加えて、
夕方、西林寺さんで結願のお遍路さんを訪ねて重ね参り
それらのすべてが
まったく偶然に黒田奏者との遭遇に繋がった?
不思議なご縁に思いを馳せたことでした。
落ちこぼれ門前、今日ばかりは真面目な仏教徒・・・
16:00 奉納演奏終了。
境内の庭の手入れをしていたご夫婦が
「いやあ~いいものを聞かせてもろうた、ありがとう、
今から八坂寺さんへはマに合わんけん、あしたの朝、やるかな?聞きに行きたい」。
「必ず奉納させて頂きますので、是非どうぞ」。と、月水さんにっこり。
16:10 ここで勇気を奮って提案致しました。
今から歩いて47番八坂寺さんまでは
札始さんや文殊院さんをスルーしても約4㌔、歩いて1時間と少し・・・
お納経所は駆け込んでも厳しいです・・・
☆ 歩き繋いだ足跡を切らないためにも、お遍路さんはお宿まで歩いて下さい。
☆ 明朝1時間早起きして47番八坂寺さんから奉納演奏を始めて下さい。
☆ 明日は予定どおり坂本屋でお会いしましょう。
喜んで提案を受け入れていただき(大切な琵琶をよく信用して下さいました)、
私は46番浄瑠璃寺前のお宿までシロネコ運送もどきのお接待。
フロントにご挨拶とお願いをしてUターン。
久谷大橋の上で懸命に歩かれるお遍路さんに軽いクラクションでエールを送って、
16:30 帰宅。
云うまでも無い、ぬるめの風呂へドボン。
続く明日がまた思いがけないドラマがありました・・・