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ふいご祭り2018

2018年12月8日(土)
  今年も、
 相原石材彫刻店の創業110周年「ふいご祭り」にお招きいただきました。

 
    夕やみせまる三坂峠のふもと丹羽の里の相原家。
   「ふいご祭り」の参列者は、家紋を染め抜いた幔幕のお出迎えを受けます。 
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   ところで「ふいご祭り」の
  「ふいご」とは、ご存知の童謡”村の鍛冶屋”に
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 ♪ 暫時(しばし)も止まずに槌打つ響
   飛び散る火の花 はしる湯玉
   (ふいご)の風さへ息をもつがず
   仕事に精出す村の鍛冶屋 ♪♬
    と歌われる「ふいご(鞴)」のことなのですが、
 ⇔ 画像帰属:https://yousakana.jp/doshu-katsuhide/
 
  ではなぜ、相原石材彫刻店で「ふいご祭り」なのかと
  2013年、この祭事に初めてお招き頂いた晩にお尋ねしたところ、
  「石」を彫り加工形成するとき傷んだ鑿(のみ)などを修理するための
  「鞴」は鍛冶屋さん同様或いはそれ以上に
   石屋にとっても大切な大切な道具だった、とのお話しでした。

   相原家歴代のお仕事は石屋さん、
   近郷の墓石はもちろん、お寺や四国88ヶ所霊場の石仏やお大師像、
   各地の句碑・歌碑はじめ土木建築物の石材加工等々、
   三代に亘り残された作品は数え切れない相原家ならではの伝統の祭りに納得した私でした。
 
  「ふいご」の仕組み       
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  左の写真は、2015年のふいご祭りの晩、
  玄関で披露されていた「ふいご」です。

  歳月を経て蓋の墨書きは読みづらいのですが
  祭主の説明書きによると、
 【大正5年5月10日、伊予 今治 製作・・・】
  なんと今から102年前今治市で作られ
  ここ松山市窪野町の
  相原石材彫刻店で戦前まで使われていたものです。




 箱の中は「鞴」の文字の成り立ちのごとく
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   中央の部品(中央、間仕切りのような部分)
 確かにケモノの革で出来ていました。
 外から棒状の柄を押し出し、引き出しながら
 底のパイプ穴から炉へ風を送り込み火を熾して鉄を溶かして
 鑿(のみ)などの修理していた歴史が窺えます。

    画像帰属:https://touroji.com/manufacture/fuigo.html
  

     <いつもの門前の小僧の余談>
     アニメ「もののけ姫」の中で左右数人ずつが交替で「たたら」を踏むシーンがありましたが、
     「たたら」は「ふいご」の大型人力送風機で
     坂本屋の囲炉裏端にある「火吹き竹(ひゅきだけ)」は一人馬力の小型送風火熾し機ではないか!と思います。

 18:00 二階座敷床の間には、すでに祭壇が設けられ、
     ほどなく二人のご神職により神事が厳かに始まりました。
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 祭主からお聞きしたご神名
  火明神   ほあかりのかみ    太陽の神
  埴安彦神  はにやすのみこと   土の神様
  火彦霊神  ほぶすなのかみ    火の神様
  金山彦神  かなやまひこのかみ  鉱物の神
  天目一箇神 あめのまひとつのかみ 製鉄の神

  年々お招きにあずかる度にメモって帰るのですが、
  聞き間違い、書き間違いがありましたら教えて下さい。




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    鞴は昔の金属の精鉄や加工には欠くことのできない、
  火をおこすための道具で、暮れの十二月八日、
  鍛冶屋、刀工師などが鞴祭りを行いました。
  稼業の守護神の祭札を受け、注連縄を張り、
  お神酒や餅を供え祭事を行いました。
         サイト<お話し歳時記>より
  
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    ふいご祭りの記事を書くとき、間違いを書いてはいけないのでネット各サイトを調べるのですが、
    下町の鍛冶屋さんから大手の製鉄関係社のふいご祭りの写真をみても、ここまで厳かな祭壇を設けて
    お二人の神職の祝詞を受けて神々に御降臨願う、という祭式記事にはなかなかお目にかかれません。 


    ご神職の祝詞のあと、祭主の玉串奉奠に次いで参列者も玉串を捧げます、
    私は、このふいご祭りのときしか体験したことが無いものですから緊張マックス!!

18:30 一連の神事を終えて、御神酒(生酒)のお下がりを受けて「直来」の開宴です。
    相原家ふいご祭りには、地元坂本・久谷地区のお歴々はじめ石材関係の方、
    坂本屋運営委員有志が参会、例年のことながら宴は弾み盛り上がりました。
                (個人情報に配慮して宴の詳細はカット)
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行きに所要のあった私はALL-FREE

 
  今年もご馳走になりました「自然薯」、
     大鉢の中の青海苔の冨士山から紅しょうがの日の出が昇っています。
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  厚かましくも取り皿に三杯のお代わりは誰や! 
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やっぱりスーパーの山芋と山里の自然薯はネバリ方が月とスッポン違います!


     お堅い石屋さんの直来かと思いきや、恒例、参会者の3分自己紹介タイムもあって、
     ALL-FREEで酔ったのでしょうか、今はなくなった「西宇和郡双岩村生まれ」とやってしまった私でした。

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   飲めるけど今日は呑めない鍵付きの私(宴席の艶消し男)、
   祭主から「おみやげ」と器いっぱいの自然薯も頂いて少し早めの早退。
          
  飲めない私の隣りに座った呑めるSさんから、
  「奥さんのおみやげにどうぞ」と、もらった坂本屋草餅!
  「Sさん、ありがとう、宿六点数稼いだ^0^」、ペッコリ。

                   
 
 静かな山里の一軒の石屋さんが
  創業以来110年に亘って稼業の守り神を敬い、祭事を執り行われるという
 「新日本紀行・ふるさとの祭り」の原風景に溶け込ませて頂き感無量の夜でした。
相原家へのお礼と御降臨の神々への感謝をこめて。
    

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by jh5swz | 2018-12-11 15:24 | 坂本屋日記 2018 | Comments(0)